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閉された言語空間―占領軍の検閲と戦後日本 (文春文庫)閉された言語空間―占領軍の検閲と戦後日本 (文春文庫)
(1994/01/10)
江藤 淳

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 この本は、3年ほど前に大学の授業の参考文献となっていたものです。当時は、図書館で借りて少し読みましたがほんの少し読んだだけでした。当時の私の意識も低かったのか、それほど興味を持つことはありませんでした。今回、もう一度この本を読むきっかけがあり、今度は図書館ではなく文庫本が発売されていたので、購入しました。すごく興味深く読むことができ、大変勉強になりました。

 大東亜戦争敗戦後、日本にはアメリカから自由を与えられたというようなことを学校で教えられた方がいると思います。現実ですがアメリカは戦争が終了するまえから、しっかりと準備された検閲を日本で行いました。ラジオ、新聞、雑誌などはもちろん個人の電話、手紙においても検閲が行われていました。

 そもそも検閲とは、公権力によって新聞、書籍、雑誌、映画、放送、手紙などの内容を強制的に調べることです。日本国憲法では禁止されております。

 これをアメリカは、戦後日本で行いました。「日本における太平洋陸軍民間検閲基本計画」第二次改訂版が完成したのは1945年(昭和20年)9月30日です。この時点について、筆者こう述べています。

「眼に見える戦争は終わったが、目に見えない戦争、思想と文化の殲滅戦(せんめつせん)が、一方的に開始されてようとしていた」

 敗戦後すぐの日本人も日本だけが悪だなどとは考えていなかったようです。この本にも「数知れぬ戦争犠牲者」は、日本の「邪悪」さの故に生まれたのではなく、「敵」、つまり米軍の殺戮と破壊の結果生まれたのである。「憎しみ」を感じるべき相手は、日本政府や日本軍であるよりは、まずもって当の殺戮者、破壊者でなければならない。当時の日本人は、ごく順当にこう考えていた」と述べられています。

 検閲によって事実も報道をされることができなくなっています。アメリカ軍が起こした事件などを報道をすることもできなくなっていたようです。削除または掲載発行禁止の対象の対象になったものは30項目もあります。

 この検閲によって筆者は、「古来日本人の心にはぐくまれて来た伝統的な価値の体系の、徹底的な組み換え」が行われ、「自ら新しいタブーを受容し、「邪悪」な日本の「共同体」を成立させて来た伝統的な価値体系を破壊すべき「新たな危険の源泉」に変質されていく」と述べています。

 占領軍は、敗戦が一時的なものと考えていた日本人に徹底的にこの戦争について罪悪感を持つように計画します。それが、「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画」です。

 この計画にまんまとはまってしまった日本人は、今も日本は悪かったと現在までこの計画が生きています。戦前は、すべて悪で、戦後日本は良くなったと私も学校で教わりました。本当にそうでしょうか。全く何も間違いのない完璧な素晴らしい国だというのではありません。ただ、日本という国の歴史、文化、伝統にはこれまで先祖が私達につないでくれた美しいものが多々あります。

 言葉までも奪われています。戦前で使われていた言葉も戦後は、使うことがなくなりました。践祚(せんそ)、御名(ぎょめい)などはその一部です。言葉は、その国の歴史や文化の中から生まれてきたものです。それまでも破壊しようとしたのです。このことについても最後に筆者はこのように述べています。

「今日の日本に、あるいは”平和”もあり、”民主主義”も”国民主権”もあるといってもいいかも知れない。しかし、今日の日本に、”自由”は依然としてない。言語をして、国語をして、ただ自然の儘にあらしめ、息づかしめよ。このことが実現できない言語空間に、”自由”はあり得ないからである。」

 アメリカによる検閲については、日本人は当然知ることはありませんでした。戦前の日本について多様な意見があっても良いと思います。ただ、戦後日本にどのようなことが行われていたのかということについては、あまり日本人の中でも知られていないことではないでしょうか。日本人がこの検閲についても理解し、その後の日本の状況を見たうえで、戦前を考えることが重要ではないかと感じました。



閉された言語空間―占領軍の検閲と戦後日本 (文春文庫)閉された言語空間―占領軍の検閲と戦後日本 (文春文庫)
(1994/01/10)
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2015.04.16 Thu l l コメント (0) l top

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